ヴェイダー待望の再来日、ポーリッシュ・メタル三つ巴! @渋谷WWW 2023.6.9 レポート

ヴェイダー待望の再来日、ポーリッシュ・メタル三つ巴! @渋谷WWW 2023.6.9 レポート

去る6月中旬、ポーランドの激烈デスラッシャー:ヴェイダーが再来日! “AN ACT OF DARKNESS IN ASIA〜40 YEARS ANNIVERSARY”と題されたアジア・ツアーの一環として、東・名・阪にて3公演を行なった。5月20日のUAEドゥバイ公演を皮切りに、オーストラリア&ニュージーランドでの5公演を挟み、フィリピン、タイ、シンガポール、インドネシア、ネパール、インドを廻ったこのツアー、元々は2022年10月に行なわれる予定だったが(その時点では、中国、香港、べトナム、台湾、韓国での公演もアナウンスされていた)、延期となった結果、副題の通り、バンド結成40周年というオマケ(?)要素が付いてきた…という経緯もあったり。

ヴェイダー2023来日告知

2016年から3年連続で9月に来日していたヴェイダーだが、その後はしばらく機会がなく、コロナ禍もあって期間が空いてしまい、今回の4年半余振りの日本再上陸は、ファンにとって正に待望だったろう。しかも2018年と同じく、同郷のHATEとTHY DISEASEを従えての、ポーリッシュ・メタル三つ巴ツアーときたから実に贅沢だ。ここでは、ツアー日程初日の渋谷WWWでの模様をお伝えしよう。

ショウの幕開けは前回来日時と全く同じで、イントロSEに続き、デビュー作『THE ULTIMATE INCANTATION』(1992年)から「Dark Age」、「Chaos」という流れだった。ただ、「Vicious Circle」、「The Crucified Ones」とさらにデビュー作収録曲が続き、まずは長きキャリアを改めて印象付けるも、次いで5曲目に現時点での最新作『SOLITUDE IN MADNESS』(2020年)から「Shock And Awe」と「Into Oblivion」を披露することで、時代を一気に駆け抜け、改めて現在進行形の現行バンドをアピール! この時点で全観客がすっかりヴェイダー・ワールドに引き込まれてしまっていた。

ヴェイダー ステージ
VADER

現ラインナップは、首魁ピーター(g, vo)以下、2010年加入のスパイダー(g)、2011年加入のハル(b)、2022年加入の新顔ミハウ(dr)という4名で、前回来日時からはドラマーがチェンジしているのだが、ミハウの見た目が前任:ジェイムズ・ステュワートにちょっと似ているのもあり、もしかしたら交代に気付かなかった人もいた…かも? ただ、終始クールにポーカーフェイスのジェイムズとは異なり、ミハウはプレイの緩急に合わせ(?)、激速ビートではそれなりに苦しそうな表情で叩き、時には不敵な笑みを浮かべながら叩いてもいたので、実はかなりタイプが違う。無論、どちらも並外れたドラマーなのは言うまでもないが。

ピーター
Peter
スパイダー1
Spider
ハル
Hal
ミハウ
Mihał

現在57歳で、もうすぐ58歳になるピーターは、今もって全く衰え知らず。アグレッシヴにギターを掻き鳴らし、野太く咆哮し、電光石火のソロ・ワークも依然キレッキレで、まるで歳を取るのを忘れてしまったかのよう。その相棒:スパイダーの、正確無比でありがなら豪快さも兼ね備えた万能シュレッダーっぷりも、言わずもがな健在だ。彼の場合、何とも表情豊かに文字通り“顔で弾く”インパクトも絶大で、終始ギター・フリークの心を鷲掴みにしていた。

中盤以降は、かつて日本での人気を決定付けた初期名作群:『DE PROFUNDIS』(1995年)、『BLACK TO THE BLIND』(1997年)、『LITANY』(2000年)からの人気曲を絶妙に配しつつ、『REVELATIONS』(2002年)から「When Darkness Calls」や(中盤よりちょっと前に)「Wolftribe」など、レア曲もしっかり披露。また、『TIBI ET IGNI』(2014年)から「Triumph Of Death」、EP『THE ART OF WAR』(2005年)から「What Colour Is Your Blood?」と、実は定番となっている曲でも大いにフロアを沸かせた。流石に全作品から満遍なく…とはいかなかったものの、アンコール含めもう怒濤としか言いようがないショウ構成で、濃密度&充実度がハンパない。90分超に亘り、ベテランならではの貫禄と「まだまだ若いバンドにゃ負けねぇ!」と言わんばかりのガッツでもって、血気盛んなオーディエンス(観客スペースが階段状になっていて、大きなサークル・ピットなどは発生しなかったが…)を見事完全ノックアウトしてみせた…!!

ピーター

ピーター

スパイダー2

スパイダー3

ハル

ミハウ

ピーター

バンド

ヴェイダー@渋谷WWW 2023.6.9 セットリスト

1. Intro:Macbeth(SE)〜Dark Age
2. Vicious Circle
3. Chaos
4. The Crucified Ones
5. Shock And Awe
6. Into Oblivion
7. Triumph Of Death
8. Wolftribe
9. Intro:Devil(SE)〜Epitaph
10. Whisper
11. Silent Empire
12. Blood Of Kingu
13. What Colour Is Your Blood?
14. When Darkness Calls
15. Sothis
16. Helleluyah!!! (God Is Dead)
17. Bones
18. Cold Demons

[Encore]
19. Wings
20. Carnal

オープニング・アクト

2018年来日時と同じく、今回もHATE、THY DISEASEというヴェイダーの同郷後輩エクストリーム・メタラー2組がオープニング・アクトとして全公演に帯同。インダストリアル寄りの前者、ブラック・メタル風味の後者ともにグッと存在感を増し、いずれも前回を大きく上回る好反応を観客からもらっていた。また、ローカル・サポートとして先鋒を任されたディファイルドも、ポーランド組に全くヒケを取らない堂々たるパフォーマンスを見せてくれたことも付け加えておきたい!

HATE

ヘイト:ドミン
Domin / HATE
ヘイト:ATFシナー
ATF Sinner / HATE

THY DISEASE

シラス:サイ・ディジーズ
Syrus / THY DISEASE
ヤニュアリ:サイ・ディジーズ
Yanuary / THY DISEASE

DEFILED

ディファイルド バンド
DEFILED
Shinichiro Hamada / DEFILED
Shinichiro Hamada / DEFILED