Positive Grid “Spark”ってぶっちゃけ、 メタルとかロックに使えるの????[徹底検証してみた]

Positive Grid “Spark”ってぶっちゃけ、 メタルとかロックに使えるの????[徹底検証してみた]

ザックザクでズンズンのヘヴィ・メタルに使えるのか?

…とまあ、ここまでに紹介したような機能については、実はPositive Gridのウェブサイトやマニュアルを見れば載っていたりもする(より詳しく知りたい人は他のレビューサイトなどもぜひ見てみてください)。ここからが当記事の本題。自宅でギター・ヒーローになりたいおうち系ギタリストの大半が気になっていること…、というかもう筆者が個人的に知りたいだけですが、それをチェックしてみた。

つまり、「“Spark”って気持ちいいメタル・サウンドは出せるの?」。

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アマチュアの考えかもしれないが、卓上サイズの小型アンプでしっかりとした重低音が本当に鳴るのか、ここが心配な人は筆者以外にも多いはず。結論から言うと、そんじょそこらのオーディオ・アンプが比較にならないぐらいバンバン出る。

わかりやすくチェックするため、ドロップAチューニングにした7弦ギターを“Spark”に接続し、初期状態でプリセット・ボタンの4番に入っているMETALのサウンドをセレクト。7弦開放を鳴らすと、このサイズのアンプにありがちな倍音だけが目立つ感じではなく、実音の太いサウンドが杭のような太さで体感できた。もしかしたらギターによっては低音が出過ぎ、ダブついて感じるかもしれないので、BASSツマミは絞り気味にしてちょうどいいぐらいだろう。

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そして先述したBluetooth機能を使って、“Spark”をオーディオ・スピーカーとして使ってみるのもわかりやすい。バスドラムとベースが前へせり出すように再生されるので、かなりのド迫力だ。相対的に中音域は少し控えめだが、これはもしかすると、音楽を流しながら演奏することを想定し、ギターの美味しい帯域にぶつからないような調整がされているのかもしれない。

ちなみにここまでしばらく試聴して気づいたのは、アンプ自体が顔の正面ぐらいにくるよう、高さを調整して置くのがいいということ。オフ気味な距離でゆるく遊ぶのももちろん楽しいが、なるべく近距離で、かつ頭が“Spark”の真ん中に来るようにすれば、かなり解像度の高いサウンドを再生してくれる。

“Spark”のメタル・サウンドの実力をより細かく知るため、専用アプリ内で30種類選ぶことのできるアンプ群の中から、メタルに向いているかどうか、もっと具体的に言えば「ブリッジ・ミュートのザクザクに向いているかどうか」という、ものすごく偏った基準でレビューしてみよう。番号で言えば15〜22辺りがハイ・ゲイン系だ。

15 American High Gain

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中低域にしっかりとした輪郭があって、超ぶっといサウンド。音の質感で近いところを言うと、メサブギー“Mark IIC”辺りだろうか? …と思ってPositive Gridのウェブサイトを調べてみると、ジョン・ペトルーシ・モデルの“JP-2C”がモチーフになっているとのこと。GAINは意外にフル近くまで上げなければザックザクにならないが(しつこいかもしれないがギターにもよるのであしからず)、あまりにも上げ過ぎると猛烈にブリブリな低音域の飽和感が出てくるので、その境目ぐらいで上手く設定するのがメタリックに響かせるコツ。

16 SLO100

Spark 019

これは見た通り、そしてプリセット名の通り、ソルダーノがモチーフだろう。他のハイ・ゲイン系アンプ・タイプに比べて倍音が控えめで、飽和感も控えめ、中音域に寄ったサウンド。GAINツマミをかなり上げても全体的にスッキリしたサウンドをキープできるので、スピーディーなプレイをさわやかに聴かせたい人(’80年代のL.A.メタルとか)にバッチリとハマりそうだ。重低音が心地よい感じにシェイプ・アップされるので、バックで流している音楽のベースやバスドラムが聴き取りやすいのもいい。

17 YJM100

Spark 020

かなりリアルなマーシャル系サウンドで、あの硬質なエッジ感が実にリアルに再現されている。ネーミングはイングヴェイ・マルムスティーンそのものだが(笑)、50Wのマーシャル“1987”が好きなギタリスト(マイケル・シェンカーとか)ならどんなタイプでもイケるはず。ブリッジ・ミュートした時にニンニンとまとわりついてくる成分が、モダン系ではなく昔ながらのクラシック・メタル的で超かっこいい。’80年代のスラッシュ・メタルにも合いそう。

18 Treadplate

Spark 021

メタルの人ならみんな大好き、メサブギー“Dual Rectifier”系のアンプ・タイプ。イメージの通りかなりモダンなサウンドで、先出のAmerican High Gainに比べるとかなりスッキリしており、輪郭がしっかりある。レンジが上下に広い感じもバッチリ再現。と言っても重低音がガサツに出るのではなく、心地よいところまで出して不要なところはカットしてくれる感じだ。ザクザク系にはこれが最強かも。

19 Insane

Spark 022

見た目はEVH“5150 III”のリスペクト系。Insaneという名前のごとく、他のアンプ・タイプよりもかなりゲインが高くて、レンジ感も相当広い。GAINツマミを上げ過ぎると低音弦が強烈に飽和感しまくって、モダンなのにクラシックな趣もあるという不思議な感覚だ。BASSツマミはかなり下げ気味で使う必要がある一方、高音域のエッジのギンギン言う金属感もものすごくあるので、「クセ系アンプ」とも言えるかも。好きな人は超好き。

20 SwitchAxe

Spark 023

ヒュース&ケトナーの“SwitchBlade”がモチーフ。トーンは超ドンシャリで、中音域をバッサリ削ってくれているのでかなりスッキリした印象だ。7弦ギターや8弦ギターの音域にものすごく合っていて、低音弦の刻みの心地よさが半端ない。ゲイン量は前述の2つよりも低いのに、これほど気持ちよくザクザクできるのがかなり不思議ではある。ジェント系に代表される現代のヘヴィ系音楽には、これが一番合うと思う。

21 Rocker V

Spark 024

オレンジの“Rockerverb 50”風。他のハイ・ゲイン系アンプとはちょっと毛色が違っているイメージで、例えるならレコーディング時にマイクを限りなくスピーカーのセンター付近でセットしたような感じ(わかりますか?)。中音域が目立っているのでどちらかというとハード・ロック向きな印象だが、メタルでも全然いける。輪郭がものすごくハッキリしているので、前へ前へと出たいタイプのギタリストならかなり合いそう。

22 BE 101

Spark 025

フリードマン“BE100”を元にしたアンプ・タイプ。マーシャルのサウンドをシェイプ・アップし、研ぎ澄ましたかのような印象を受ける。様々な帯域がバランス良く鳴るので、バッキングとリードを頻繁に行き来するようなスタイルに合いそう。一方でGAINツマミを思いっきり上げると、ピッキングするたびにまとわりついてくる飽和成分がものすごく荒々しい。優等生的なのに暴力的にもなれる、そんなイメージだ。