Positive Grid “Spark”ってぶっちゃけ、 メタルとかロックに使えるの????[徹底検証してみた]

Positive Grid “Spark”ってぶっちゃけ、 メタルとかロックに使えるの????[徹底検証してみた]

ヴァン・ヘイレン・サウンドを作ってみたい!

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ここで「ヴァン・ヘイレンっぽい音を作ってみよう!」と思い立ち、昔のヤング・ギターや増刊ムックなどを引っ張り出してきてエディー・ヴァン・ヘイレンの機材セッティングを参考にしつつ、再現を試みてみた。

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初期のエディーに関しては、「UK製のマーシャル“1959”(230V駆動)を、可変トランスによって低い電圧で鳴らし、それによって飽和感の強いディストーションを得る」ことが最大の肝。それに倣って、まずは30種類のアンプ・タイプの中からマーシャルっぽいものを選ぶことにしたが…。“1959”的なPlexiglasだと歪みが控えめかつトーンが柔らかめなので、50Wの“1987”的なテイストを持つYJM100の方をセレクトした(ヴァン・ヘイレン・サウンドを再現するのにイングヴェイっぽいアンプを使うのも妙だが)。ゲイン量は初期エディーにかなり似ているが、ただGAINツマミやVOLUMEツマミを上げ過ぎるとボワっとした輪郭の丸いサウンドになりがちなので、入力の手前でブーストをかますことにする。

歪み系ペダルはどれも(いい意味で)音にクセがあるので避け、ここは味付けの少ないコンプレッサーで代用してみた。

そしてリヴァーブは、Plate Richというズバリ合いそうなものをチョイス。おお! アンプの外側まで響いているかのような広がりがかな〜り心地よくて、それだけでヴァン・ヘイレン(の1st)っぽい気分。そこにFlangerを3割ぐらいのミックス量でかければ、気分は「Ain’t Talkin’ ‘Bout Love」か「Unchained」(こっちは4thですね)だ。

という感じで出来上がったプリセットは、とりあえず“EVH meets YJM”という名前をつけてToneCloudにシェアしてみたので、気が向いたら探してみてください。

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さて、とても心地よいサウンドが作れたことは作れたのだが。初期エディーのエッジーでジリジリしたピーキーさは再現し切れていない気もする。ということで今度は素直に、EVH“5150III”風のアンプ・タイプであるInsaneをセレクト。高音域の強さは、こっちの方がかなり近い気もする。でも全体的にレンジがぐわっと広がったので、むしろ『A DIFFERENT KIND OF TRUTH』(2012年)の頃のエディー・サウンドと言った方がしっくりくる感じ。というか、アンプの他に何も加えなくても、相当あのアルバムの音に似てるよこれ。さすがノウハウを蓄積してきたPositive Grid。

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さらにサミー・ヘイガー時代の、筆者が大好きな『FOR UNLAWFUL CARNAL KNOWLEDGE』(1991年)の頃のエディー・サウンドはどうだろうか? 当時のレコーディング機材はソルダーノ“SLO100”、BOSS“SD-1”、ローランド“DC30”あたりとのことなので、それらしいものをチョイス。細かく言えばアンプはSLO100、歪みペダルは黄色いOver Drive、モジュレーションはChorus、リヴァーブはRoom Studioで、このうちSLO100に関してはもう、そのものズバリな音をいただきました。かなり中音域の強いアンプなので、Middleツマミは1ぐらいまで下げ、Trebleツマミを上げめ、Bassツマミを下げめにするとトーンもかなり似てくる。

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こちらのプリセットは“EVH judges”という名前をつけて、ToneCloudにシェアしてみた。

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…で、ここまでやってみて気が付いたのだが。考えれてみれば自分で1から作ろうとしなくとも、そのToneCloudという便利な機能があるじゃないかと。ここには既に、世界中のマニアックなギタリストたちが作ってくれた「○○っぽいセッティング」が山のようにシェアされている。その中から気に入ったものを選んでしまえばそれで万事OKな気がしたので、早速Van Halenで検索すると、ファンの愛のこもったプリセットたちが出るわ出るわ! ちょっとめぼしいものをピック・アップして試奏してみた。

van halen tone(dpuglia2008さん作)

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個人的に初期ヴァン・ヘイレンの荒々しいブラウン・サウンドに似ているなーと感じたのが、このプリセット。コードを長めに伸ばした時の少し潰れていく感じが、すごく1stの頃のヴァン・ヘイレンっぽい(ギターによっては潰れすぎてしまうかもしれないので、出力低めのピックアップで弾くのがおすすめ)。使われているアンプを見ると、意外や意外、ジェント系とかモダンな音楽に合いそうな印象だったSwitchAxeを選択。手前にOver Driveをぶっこんで、無理やりな飽和感を作っているのが納得。勉強になります。

Cathedral – Van Halen (Eric Lefebvreさん作)

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これはズバリなプリセット名。付点8分のディレイをかけてくれているので、もう選ぶだけであの曲を弾けるのがありがたい(ヴォリューム奏法がめちゃくちゃ難しいので筆者には無理だけど)。アンプはヴィンテージ・マーシャルっぽいJM45を使っており、原曲のあの柔らかい音の感じがすごくリアルに出せている。コンプレッサーで音の粒をそろえてくれているのも高ポイント。

Van Halen 1 (Mark Evansさん作)

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これはおそらくサミー時代のヴァン・ヘイレンの音を狙ったもの。他にも同様のプリセットがいくつかあったが、音の分厚さという点でこちらに軍配を上げた。アンプはこれも意外、メサブギーの“JP-2C”っぽいAmerican High Gainを使用し、アイバニーズ“Tube Screamer”っぽい緑色のオーヴァードライヴ(Tube Drive)でかなりゲインを上げている。そしてディレイはEchotape…これは初期のエディーも愛用していたマエストロ“Echoplex”っぽいものだ。エディーがあの時期に使っていたかどうかはさておき、こういうのが入っているとテンション上がっていいよね〜。

R2 1984(Donald James Panhorstさん作)

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多分『1984』の頃のサウンドを狙ったこのプリセットは、エッジ成分があまり強くないので実は似てないと言えば似てないが(趣旨がブレブレですみません)、純粋に弾いていて気持ちいいサウンドなので気に入ってしまった。メタル系にもハード・ロックにも、何でも合いそう。ギター1本でバリバリ弾きまくりたい人向けかも。ちなみに使用されているアンプはメサブギー系のTreadplate。