「常に自分の直感を信じて曲を書いてきた」ペッカ＆アンティ・コッコ／カルマ 2018来日インタビュー

兄貴がいない時にこっそりギターを借りて弾いていた（アンティ）

カルマ：ギター・チーム

ＹＧ：ちなみに、『PALO』収録曲の中でペッカがギター・ソロを弾いている曲はありますか？

ペッカ：ないよ。やらせてもらえなかったから。

ＹＧ：シンセ・ソロが入った曲はありますが、そういったことはどうやって決めるのですか？　

アンティ：曲を書いた時点で、ソロっぽいセクションを設けておくんだけど、キーボードのヤツとギターとのバトルみたいなことがやりたいと思ってね。彼がそういったソロを弾きたがっているのも知っていたし。ギターとキーボードが同じメロディーを弾くパートは、いつも考えているよ。それか、俺のギター単独のソロがイイな…と思ったらそうするし。

ＹＧ：ペッカとしては、本当は１曲ぐらいソロを弾きたいのでは？

ペッカ：許してくれなくても、やりたくなったら勝手に弾くよ（笑）。

アンティ：でもミキシングの段階では、コイツはもう（スタジオに）いないだろうから、その時にソロのトラックのミュート・ボタンを押すことにしよう（笑）。

ペッカ：カルマの歴史に名を残すソロを消すとは何事だ！（笑）

ＹＧ：（笑）　アルバム中のツインでハモっているパートは、アンティが１人でハモっているのですね？　

アンティ：ああ。

ペッカ：いつもというワケじゃないよ。俺がやることもある。「Take Me Away」と「Blood Ran Cold」は俺がハモりを弾いているんだ。

ＹＧ：リズム・パートやリフは２人で弾いていますか？

アンティ：うん。

ＹＧ：レコーディングはいつも一緒に？

ペッカ：一緒にやることが多いね。

ＹＧ：それはライヴ録りということでしょうか？

アンティ：いや、それも試したことはあったけど、基本は別々に録っているよ。セッティングが整ったら、まず俺が弾いて、俺がコーヒー休憩を取っている間にペッカが弾いて…という感じだ。それぞれ異なるタッチやサウンドを持っているけど、一緒に合わせることでカルマのサウンドになるのさ。

ＹＧ：ギタリストが兄弟というバンドは他にもありますが、良い面とそうでない面というと？

ペッカ：俺達はかなり長い間、一緒にプレイしてきているから、リフなんかは簡単に合わせられる。あと、最近はもうケンカをしなくなった（笑）。

ＹＧ：最近は…ですか？

アンティ：ハハハ。最初の頃は、音楽的な方向性の違いなど色んなことで口論になったよ。でも今は、ただプレイして楽しんでいるだけだ。

ＹＧ：お２人は５歳差だそうですが、ギターは先にお兄さんが始めて、それを見て弟さんも始めた…という感じでしょうか？

アンティ：そうだよ。

ペッカ：コイツは俺のマネをしてきたんだ（笑）。

アンティ：兄貴より上手くなってやるぞ…と思ってね！（笑）

ＹＧ：早い段階から、お兄さんが「俺はリズムをやるから、お前がリードを弾け」という感じ？

ペッカ：元々、俺はベースを弾いていて、その後にギターへ転向したんだ。

ＹＧ：そうなんですね！　ギター自体を始めるのが遅かったということですか？

アンティ：そうなるのかな？　ベースを１年やって、それからギターを弾き始めた。

ペッカ：多分、15〜16歳頃だったんじゃない？　それを若いと思うか、遅いと思うかは分からないけど。

ＹＧ：アンティがギターを始めたのは？

アンティ：11歳の時だ。

ＹＧ：ということは、アンティがギターを始めた時、まだお兄さんはベースを弾いていたのでは？

アンティ：え〜と…まとめると（笑）、まずペッカが15歳の頃にベースを始めて、16歳の時にベースを売ってギターを手に入れた。で、兄貴がいない時、俺は「しめしめ！」とこっそり弾いていたんだ。

ＹＧ：２人で１本のギターを弾いていたのですね？

アンティ：そうだよ。それから１〜２年して、俺も自分のギターを買った。

ＹＧ：となれば、２人はほぼ同時期にギターを始めたようなものでは？

ペッカ：そうだな。コイツの方が若くして始めた…というだけかも。

ＹＧ：その後は、お互いに切磋琢磨しながら？

アンティ：ああ、そんな感じだ。

ＹＧ：そういえば、前のインタビューでペッカは「弟が巧くなり過ぎて（リード・ギターを）諦めた」と言ってましたね？

ペッカ：うん。俺はヴォーカルもやることにしたから、リズムに徹した方がイイと思ってね。

アンティ：当時、ペッカはANCESTORというバンドをやっていたんだ。僕はまだ11歳ぐらいだったから、15〜16歳になるまで、そこには入れてもらえなくて…。

ペッカ：確か、最初のデモ（’99年『SVIERI OBRAZA』）を作った頃に入ったんだよな？

アンティ：そうそう。それから、バンド名を（KALMAHに）変えることになった。

ＹＧ：では、弟さんがどんどん上手くなっていくのを見ていたのですね？

ペッカ：そうだ。というか、そうじゃなきゃ、入れてやらなかったよ！（笑）

ＹＧ：では、『PALO』のレコーディングで使った機材を確認させてください。

アンティ：アンプはVHTの“Sig:X”だ。キャビネットは２台試してみた。１台は’80年代の古いマーシャルで、もう１台はクランクだったかな…。ギターはE-II製だ。ピックアップはセイモア・ダンカン“Black Winter”に交換しているものの、基本ノーマルなモデルだよ。あと、（エフェクターは）アイバニーズのペダル“TS808”。他にも試したモノがあったかもしれないけど、まぁそれぐらいかな…。

ペッカ：俺はESPのスタンダードなモデルを弾いた。

ＹＧ：お２人とも、使ったギターは１本だけですか？

アンティ：ああ。ただ、「Take Me Away」にはクリーン・トーンのパートもあるから、そこは’70年代のフェンダー製真空管アンプと、どこ製かわからないけど、かなりくたびれたギターがスタジオにあって、それを使って弾いたんだったな。

ＹＧ：アコースティック・ギターは？

アンティ：今回は使っていない。

ＹＧ：ペッカが使ったアンプは？

ペッカ：ピーヴィー“6505+”のみを使った。デジタル機器は一切ない。

ＹＧ：いずれも、マイクをキャビネットの前に立ててレコーディングした…と。最近は、ギター・プロセッサーなどを使用するバンドも多いですが？

アンティ：だからみんな同じ音に聴こえるんだ。でも、俺達は昔ながらのやり方を採りたかった。

ペッカ：リアンプなんてダメだよ。

ＹＧ：ギターのチューニングは？

アンティ：全弦１音半下げだ。