ジェフ・コールマン『EAST OF HEAVEN』インタビュー:「これまでとはまったく違う作品になった」

ジェフ・コールマン『EAST OF HEAVEN』インタビュー:「これまでとはまったく違う作品になった」

ダークな映画のようにゆっくりとした、心に残る曲だ

ジェフ・コールマンと白いレスポール

YG:ここからは、収録曲について聞かせて下さい。まずは1曲目「Loss」。アルバムの幕開けとなるエレクトリック・ギターの壮大なソロは、タイトルの意味(“loss”=失う)を考えると悲壮感を思わせます。これはインプロヴィゼーションで? 

JK:すべて即興だ。3回目のテイクだった。最初のテイクは、エキゾティック製のギターにトレモロを入れて、ちょっとアラン・ホールズワース風にしてみた。なおかつ、ピーター・グリーンのレスポールにミドル・ピックアップを逆相に配線して使うことにした。最終的には3テイク目がOKになったよ。アルバムに収録されるとは思わなかったし、ましてやオープニング曲になるとは思わなかったけど。

YG:「The Mass Exodus」はパッと明るい響きで華やかに始まり、ヘヴィに展開していくロックな曲。バンドで作られたのですか?

JK:ドラム・マシンのグルーヴに合わせて作ったんだ。リフを思いついて、後からそれに合うドラム・ループ音源が見つかることもあるよね。僕がすべてのパートを演奏したものをシェーンに送り、彼がドラム・トラックを追加してくれた。その後、その周辺に色付けをして、ベースを弾き直したよ。

YG:「Homage To King Edward」は力強く、それでいて繊細な小曲。2020年にエディ・ヴァン・ヘイレンが亡くなった日の翌日に録音されたそうで、短い中にも感情が込められたインプロヴィゼーションだと思います。

JK:あの時僕はとても悲しく、多くの感情で心がいっぱいだった。彼はその天才的な創造力で、この世界に多くのものを与えてくれた。気がつくと彼のことばかり考えていて…だから敬意を表したいと思ったんだ。彼のような音を出そうとせずに、彼を称えるためのソロ曲を作りたかった。“エドワード王”のような音を出せる人なんていないよ !

YG:「Superstring Theory」は、’21年5月のアルバム発売より1ヵ月前に先行公開されたロックンロール・チューン。1つのリフを発展させていく、シンプルなスタイルです。タイトルには“THEORY”とついていますが、つまるところ理論はシンプルだというメッセージでしょうか?

JK:ああ、その通り。僕が書いたインストの中で最もシンプルでわかりやすい曲だ。それは演奏しやすいという意味ではなく、モチーフやアイデアが曲中で一貫しているということだよ。集中とシンプルさの美学を狙ったというわけ。あと、この曲名にはもう1つの意味がある。物理学において、超弦理論(“Superstring Theory”、超ひも理論)とは、自然界のすべての粒子と基本的な力を、小さな超対称の弦の振動としてモデル化することで、ひとつの理論で説明しようとする試みのことを指すんだ。

YG:「Ghostly」はギターの表現力が巧みなバラード・インスト。後半はヘヴィになっていき、エンディングのヴォリューム奏法までムードたっぷりです。ソロもファズのかかったトーンでエモーショナルに弾きまくっています。どんな思いが込められていますか?

JK:これはバラードとは言わないね。ドラマティックな暗い映画のようにゆっくりとしていて、心を揺さぶる曲だ。アルバムの中で一番気に入っているよ。この曲は、作品の雰囲気に深く入り込んでいたのでどうやって書いたのかよくわからない。曲にふさわしい音色やダイナミクスを得られるまで、少し時間がかかったね。シェーンのドラム・パートは完璧だよ!

YG:「Insomnia」は“不眠症”という意味ですが、タイトルの通り不穏な響きのアルペジオが耳を惹きつつも、美しいソロ・ギター・ピースです。実際に眠れない夜に爪弾いているうちに出来たのでしょうか?

JK:その読みは正しいね。ロックダウンの間、僕は不眠症に悩まされていた。誰でもそうだよね。そういう時は無理に寝ようとせず、時には起き上がってクリエイティヴなことをやるのもいいだろう。研究によると、深い眠りから目覚めた時に創造力を発揮できる特別な時間があるらしい。僕の場合は午前3時15分頃に訪れるようだ。

YG:最後は明るい雰囲気で終わり、「無事に寝られた」という結末を想像しましたが…?

JK:そう、この曲はポジティヴに終わる。もう一度眠りにつくんだ。

YG:「67 XR-7」は、1つのモチーフが展開していく落ち着いたロック・バラード。オルガンやエレクトリック・ピアノが良いアクセントになり、アダルトな雰囲気が漂いますね。

JK:これは’90年代に活躍したギタリスト、ロベン・フォードの影響だと思う。彼は、シンプルなペンタトニックのメロディーの下に、より洗練されたハーモニーを加えて演奏する方法を持っている。YG読者は、メロディーの下にコードを付け直すことを考えてみてほしい。持ちネタを使ったり、誰でも知っているような進行を当てはめたりする前に、いろいろな方法を試してみるといいよ。あと、ここではガイ・アリソンがオルガンとその他のキーボード・パートを演奏しているけど、おかげで曲がより良くなった。

YG:特に、コード進行に沿ったソロが巧みです。先に何度か試してみて、良い感じが得られたものをOKテイクにしたのでしょうか? それとも、指が動くままに弾いていきましたか?

JK:このソロは、シカゴへの家族の引っ越し前日にレコーディングした。荷造りの合間に録った、文字通り1回目か2回目のテイクが使われているよ。僕がソロを弾く時はたいてい、コード・チェンジの下にあるハーモニーの概要を示すように弾いている。音の流れをスムーズにするために使われる、“ガイド・トーン”や“コード・トーン”と呼ばれる音のツールがあるよね。僕は学生時代に、コード・トーンを強調させてハーモニーをより深く理解することを学んだ。ピアノの学習も、大いに手助けになるよ。