ギター対談:ペル・ニルソン(スカー・シンメトリー)&カルロス・ロザーノ(ペルセフォネ)

ギター対談:ペル・ニルソン(スカー・シンメトリー)&カルロス・ロザーノ(ペルセフォネ)

スカー・シンメトリー 来日告知

去る5月に久々の来日を果たし、アンドラ公国のプログレッシヴ・デス・メタラー:ペルセフォネらと東京、名古屋で3公演を行なったスウェーデンの激烈&キャッチーなメロディック・デス・メタラー:スカー・シンメトリー。その首魁ギタリスト:ペル・ニルソンと、ペルセフォネのカルロス・ロザーノによる対談インタビューをお届けしよう! 今回日本において初共演が実現したのだが、実はカルロス、かねてよりペルの大ファンということで、この取材を大いに楽しみにしていたそう。2人にはそれぞれのプレイ哲学、来日機材などについてガッツリ話してもらった…!

カルロス&ペル

ペルのキャリアはずっと追っかけてきているんだ(カルロス)

YG:まずは、ツアー初日の名古屋公演を終えて──昨年10月の予定から延期されての来日でしたが…いかがでしたでしょうか?

ペル・ニルソン:なかなか良い感じだ。ツアー最初のショウは、いつだって興味深いものさ。今回もヨーロッパから遥々機材を携えて日本へやって来たけど、何もかも上手くいっているよ。ファンも、とてもハッピーそうだったしね。

カルロス・ロザーノ:同じく、僕達の最初のショウもすべて上手くいったよ。オーディエンスも盛り上がってくれて最高だった。ここのところ精力的にツアーを行なっているんだけど、そんな中、日本へ行く話をもらい、スカー・シンメトリーと一緒だというから、彼等の大ファンである僕達は即答で「やります!」と言ったんだ!

ペル:日本でプレイするのって、まさにスペシャルなことだからな。スカー・シンメトリーとしては5年前(2019年4月)以来だけど、俺個人は他に、メシュガーで“LOUD PARK 17”に出演したり、あとノクターナル・ライツのメンバーとしても2018年に来日公演を行なったから、これが4度目の日本だ。日本のファンはいつだって敬意や感謝の気持ちを持って迎えてくれる。他のどの国でも、同じような経験は出来ないよ。

ペル・ニルソン
Per Nilsson/SCAR SYMMETRY
カルロス・ロザーノ
Carlos Lozano/PERSEFONE

カルロス:僕達は今回で3回目の来日だ。だから、前回プレイした時に観にきてくれたファンを見つけたりもしたよ。ペルも言うように、日本のファンはいつも敬意と感謝を持って僕達を迎えてくれる。それって他の国ではないことだし、また戻って来られて、そういった経験が再び味わえて、本当に嬉しく思っているんだ。

YG:お2人がこれまでに共演したことは?

ペル:いや…ないと思う。

カルロス:うん。日本が初めてだ。でも勿論、僕はペルのことはよ〜く知っているよ。僕にとって彼は、最大のインスピレーションとなったギタリストのひとりだからね! スカー・シンメトリーのことは言うまでもなく、彼のキャリアはずっと追っかけてきているんだ。

ペル:俺は申し訳ないけど、ペルセフォネのことはバンド名しか知らなかった。だから、今回の共演を機に、これからもっとお互いを知ることが出来たらイイな…と思ってるよ。

YG:それぞれのプレイは名古屋で観ましたか?

ペル:少しね。いや〜、素晴らしかったよ!

カルロス:ありがとう! 僕は言うまでもなく、ガッツリ観させてもらった。実は、スカー・シンメトリーのドラマー:ローレンス・ディナマルカとも古い付き合いでね。ショウの前にセットリストをチラ見することが出来たんで、好きな曲を選んでじっくり楽しんだよ。ステージ袖から観ていたんだけど、あんなに間近で彼等のパフォーマンスを楽しめるなんて、本当に素晴らしい経験になったな!

YG:お互いのサウンドについては? 同じメタルでも傾向が違っていて、今回の組み合わせをどう思いましたか?

ペル:どうだろう…。あまり考えたことがなかったなぁ。

カルロス:僕としては、なかなか面白い組み合わせだと思う。スカー・シンメトリーはメロディック志向で、僕達はもうちょっとデス・メタル寄りのエネルギーがある。オーディエンスも、僕達のショウではモッシュを楽しんで、エクストリームなムードがあるけど、彼等のショウではみんな一緒に歌ったりして、ハッピーな表情を浮かべているからね。ペルセフォネがクレイジーな“デス・メタル・アタック”でまず会場を沸かせ、続いてスカー・シンメトリーがステージに上がって、美しい楽曲を次々に演奏する…なんて最高じゃない?

ペル&カルロス 取材中

YG:パンデミックでしばらくライヴが行なえない状況が続いて、それを経た今、ミュージシャン/プレイヤーとして自分が変わったと感じますか?

ペル:俺はパンデミックの前の年に父親になったんだ。だから、世界中がロックダウンに見舞われた時、生後半年の赤ちゃんと一緒に過ごしていてね。だからある意味では、もうコロナ禍以前から、ライヴやツアーからは離れた生活を送っていたんだよ。だって赤ちゃんが生まれたばかりなのに、ツアーに出たいとは思わないだろ? だから、ずっと家にいたよ。あの頃はホーム・スタジオをセットアップし、ひたすらその作業を行なっていた。自宅スタジオが充実していれば、子供の世話をしながら色々と作業することだって出来るからね。

要は、みんなとはちょっと違う状況にあった…ということ。パンデミックが起こらなかったとしても、俺は赤ちゃんと家にいただろうな。ただ、バンドとしては色々と影響があった。世の中が通常通りに戻ると、ツアーのことを考え始めたしね。でも、コロナ禍の状況じゃなかったら、きっとニュー・アルバム(2023年『THE SINGULARITY (PHASE II: XENOTAPH)』)はもう少し早く完成していたんじゃない? とにかく、新作を完成させればまたツアーに出られる──そう思ったんだ。

カルロス:僕達はちょうどアルバムを制作中でね。その点では、ツアーに出るタイミングじゃなかったし、曲作りにかける時間がむしろ多く取れて、ラッキーだったとも言える。パンデミック勃発後、多くのバンドがツアーを打ち切ったり、新作に伴うプロモーションをあきらめざるを得なかった。コロナ禍では、アルバムを発売したり、そのプロモーションを行なうことすら困難だったよね…。でも、僕達はただ家で過ごして、乗り越えるだけだったから。

ともあれ、音楽シーンにいる仲間達にとって、大変な時期だったのは間違いない。僕達も、当初2021年11〜12月に予定されていたオブスキュラとのツアーが延期になったし。でも結局のところ、ニュー・アルバム(2022年『METANOIA』)のプロモーション・ツアーとして後日(2022年9月に)行なうことが出来たんだけどさ。コロナ明けの最初、オーディエンスはライヴ再開を喜んでいたけど、プロモーターには少しためらいがあって、それはバンド側も同様だったよ。でも、ゆっくり元に戻すことって大切だからね。

スカー・シンメトリー&ペルセフォネ ライヴ告知