「速弾くためなら鬼となる…」ボルケーノ初のカヴァー・アルバム『IRREGULAR』を屍忌蛇がユルく解説

「速弾くためなら鬼となる…」ボルケーノ初のカヴァー・アルバム『IRREGULAR』を屍忌蛇がユルく解説

速弾くためなら鬼となる…

YG:「Rise Or Fall」(ハロウィン/’88年『KEEPER OF THE SEVEN KEYS – PART II』収録)ですが…。

S:そんな曲あったっけ?

YG:ハロウィンの曲ですよ(笑)。

S:あ、そういうタイトルだったんだ(笑)。SHUN(dr)くんが選んだんだけど、なんでコレなんだと文句を言いましたよ。ハロウィンから1曲選ぶなら「Ride The Sky」(’85年『WALLS OF JERICHO』収録)に決まってるじゃないですか! でもSHUNくんは「こういう明るい曲でも屍忌蛇さんなら泣きのギターを弾くのかな」っていう興味があったらしいですよ。やってみると結構難しい曲でしたね。

YG:原曲のソロは破天荒にアーミングしたりしていますが、屍忌蛇さんのソロは起承転結がはっきりしたものになっていますね。

S:これはかなりアレンジしましたから。まあ完成した『IRREGULAR』を聴く時も、この曲は飛ばしてましたね。それかトイレタイム(笑)。

YG:そんなこと言って良いんですか!?

S:そのまま載せちゃってください。

YG:じゃあ次の曲に話題を変えます(笑)。フラットバッカーの「Hard Blow」ですね。

S:これは名曲ですよ! シンプルで同じことを繰り返してるのに、何度も聴きたくなる曲を作れるって、本当の天才だと思うんですよね。わずか15秒で曲を覚えさせちゃうCMソングを作る人に通じるものがある。これは結構勢いでガンガン弾きましたね。(箸で背中を掻いて)背中が痒い時は箸を使うんですよ。特に菜箸は先っぽがボコボコしてるから掻きやすい。

YG:これも載せた方が良いですか?

S:ちゃんと載せといてください。

YG:分かりました(笑)。イングヴェイの「I’ll See The Light Tonight」(’85年『MARCHING OUT』収録)は、屍忌蛇さんがフル・ピッキングで延々シュレッドするという結構珍しいパターンが聴けますね。

S:確かに普段はロング・トーンを聴かせるようなソロが多いですからね。あの速弾きはほぼ一発で録ったんですよ。脇でAKIRAが見ていたんで、「見てろよ、俺も出来るんだぞ」っていう気持ちで(笑)。彼からは「ここはゲイリー・ムーア風で、KeyがBにいったらヴァンデンバーグになる感じ」っていうリクエストがあって、それに肉付けしていきました。この速弾きをやる時はね…鬼になりましたよ(『仮面ライダーアマゾン』の主題歌を歌い出す)。

YG:(笑)オーヴァーキルの「Bring Me The Night」に関して。バンドのデビューは1980年代ですが、この曲は今回選曲されたものの中で唯一2010年代に発表されたものですね。

S:元々スラッシュ・メタルってあんまり聴かないんですよ。メロデスはギターが印象的だったりするけど、スレイヤーやテスタメントみたいなスラッシュって、曲の区別がつかなくなっちゃうから。でもこの曲はさっきも言ったけど、ハマりましたね。やっぱりシンプルなのにインパクトがあるっていうのが良い。まったく知らなかった曲っていうのは、Xの「I’ll Kill You」も同じ。これってインディーズ時代の曲でしょ?

YG:1STアルバム(’88年『VANISHING VISION』)の曲です。

S:これもSHUNくんが選んだんだけど、あれ、スタジオ盤を聴いてもギターが何をやってるのか分からないんですよ。だから「もっと分かりやすい曲にしてよ!」って言いました(笑)。コピーしようとしたけどサジを投げて、ほぼ自分でフレーズを作り直しました。でも昔のXのライヴ映像を観たら、HIDEちゃんもPATAちゃんもアルバムの音を再現せずに、ずっと走り回りながらギターを弾いてましたね。やっぱり「俺が一生懸命聴き取ってるのに!」って思いました(笑)。