ギタリストに無い発想で化学反応が起きる
YG:「ゴールデンナイト〜黄金色に抱きしめて〜(feat. 鬼龍院翔 from ゴールデンボンバー)」もAKIHIDEさんの曲。純粋にメロディーだけを聴くと、AKIHIDEさんらしい哀愁や懐かしさが感じられる曲調ですが、ユーモアのある歌詞が入って来た瞬間にまさにゴールデンボンバー風になるのが面白いと思いました。
AKIHIDE:もともとゴールデンボンバーさんもメロディーをすごく大事にしているし、ああいった分かりやすい“らしさ”があるからこそ、インスパイアされやすかったです。すごいですよね、ああいうメロディーにああいう言葉が乗ると、完全にゴールデンボンバーの世界になるというか。でもそこにDAIGOくんの歌とツイン・ギターが乗ることで、BREAKERZらしさもちゃんと出せたんじゃないかな。
YG:メロディーを大事にした懐かしいメロディーのギター・ソロも聴けますが、これもAKIHIDEさんが弾いたものですか?
AKIHIDE:そうですね。ここはちょっといなたくしようと思って、イーグルスの「Hotel California」を意識しました(笑)。基本的にトライアドで動いているので、それもあって古風な響きに聴こえるのかもしれませんね。
YG:「NEVER ENDING STORY(feat. Nob & Kid’z from MY FIRST STORY)」…これはSHINPEIさんの作曲ですが、ある意味すごくBREAKERZらしい曲調ですよね。
SHINPEI:ビート感のあるロック・サウンドというところでは、僕らの今までのシングル曲と共通するところがあるかもしれませんね。ギターでイントロ・テーマをがっつり弾ける曲が1つあるといいなと思って作ったんですが、この1曲が入ったことでBREAKERZのバンドらしさが見せられたんじゃないと思います。
YG:イントロから歌へ入るところなどで転調が効果的に使われていますが、こういうのもデモ段階で緻密に作って行くのでしょうか?
SHINPEI:この曲はイントロが2転3転した記憶があるんですよ。最初はもっと違うイントロだったんですけど、これほどコードが入れ替わる感じじゃなくて。ただインパクトがなかったので色々と試して、結果的に完成版のような構成になりました。
YG:そういったアレンジは3人で一緒に行なうんですか?
SHINPEI:3人集まってアレンジの話をするのは、リハーサルの時ぐらいですね。デモの段階では、DAIGOさんが電話越しに色んなアイデアをくれることが多くて。ギターもドラムも口で説明するんですけど、ギタリストには無い発想なので面白いんですよ。そのおかげで化学反応が起きることがたくさんあります。
YG:「She Is Devil」、これは曲名の頭文字がSIDなんですね。
SHINPEI:その通りです。
AKIHIDE:もちろんこれも“10周年 10番勝負 -VS-”の時に作った曲なので、気持ち的にはシドさんがいたからこそ完成した曲ですね。
YG:これはAKIHIDEさんの作曲ですが、やはり哀愁感や懐かしさのある曲調で、AKIHIDEさんらしいですよね。
AKIHIDE:そう言ってくださる方が多いんですけど、何故なんでしょうね?(笑) ちょっと暗い雰囲気とか悲しい感じとか、そういうのが好きなんですよ。
YG:ジプシー・ジャズとかもお好きですから、そういう側面も出ているのかもしれませんね。
AKIHIDE:確かにコードや音使い、テンションの感覚なんかはそちら寄りかもしれないです。3人それぞれ好みが違うんですよね。DAIGOくんはストレートなコード・ワークやメロディー・ラインが多いし、SHINPEIは僕と世代の違うフレッシュな感じや洋楽感があって。僕は和風というか、歌謡曲に近いアプローチ。そういう意味でこの曲は、ひねらず自分らしく作ったと言えます。
YG:リズム・ギターの絡みが面白いですよね。お二人が全く違うことをやっていて、それが絶妙に合っているという。
AKIHIDE:ミュートして低音を刻むSHINPEIと、オブリガートっぽいフレーズを弾く僕…という感じですね。今までのBREAKERZにはあまり無かったパターンですけど、シドさんが同世代なので、あの当時のロックってこんな感じだったな…と思いながらやりました。
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