「新曲を出さなくなったバンドもいるけど、俺達は現在進行形だ」レイヴン来日インタビュー 2019

「新曲を出さなくなったバンドもいるけど、俺達は現在進行形だ」レイヴン来日インタビュー 2019

ツアー・バンドには頑丈な機材が必須だ(マーク)

YG:では、今回マークが日本へ持ってきたギター周りの機材を教えてください。

マーク:ワイアレスが新しくなったよ。イギリスのSmooth Houndという会社とエンドースしたんだ。小さな会社だけど、FMという友達のバンドのメンバーが関わっている。以前に使っていたワイアレスは、色々と問題があってね。特にフェスティヴァルでトラブル続きだったから、ちゃんと動く無敵なヤツが欲しいと思ってさ。

ジョン:俺達の機材の扱いはハードだからな(笑)。

マーク:ああ。でも、動かないかもしれないモノを使うことはないよ。頑丈といえば、プリアンプやパワーアンプ、エフェクターはピーヴィーを使っているんだ。ピーヴィーなら建物から外に放り投げても壊れない。プラグインしてみれば、ちゃんと動く。ツアー・バンドには、そういった頑丈な機材が必須だね。

ジョン:ギターは今、黒と赤のヤツを使っているんだよな?

マーク:そうそう。Oktober Guitarsの…ね。黒と赤が今の俺達のカラーなんだ。ライヴ・アルバム(のアートワーク)だってそうだろ? 俺のテレキャスター・モデルに関しては、よく「どうして(メタル向きではない)そのギターを使うんですか?」と質問攻めにされる。その理由として唯一の答えは「ステイタス・クォー」さ。バンドを始めた時、俺達は「ステイタス・クォーのようなバンドにしよう」というコンセプトを持っていた。その後は、長年の間に色んなギターを使ってきたよ。ESPも、ヘイマーも使った。でも、結局はテレキャスターに戻ってくるんだ。

ただ、(これからリリースされる)新作のレコーディングでは、ケンパーのようなモダン・テクノロジーも使ったよ。iSPテクノロジーズのプリアンプ“THETA”も使っている。あれも“俺のサウンド”だからな。つまり、お気に入りのサウンドをケンパーに取り込み、それを元にちょっとパラメータをいじったり、サチュレーションをかけたりしたのさ。今後は(ケンパーを)もっと試していきたいね。レコーディングにおけるツールとして、作業効率をグンと上げてくれるから。俺は常に新製品をチェックして、クレイジーなモノがないか探している。

ジョン:自分に合った楽器を選ぶ…ということだね。世の中にはクールな新製品が溢れているし、俺も試すことはあるよ。

マーク:そう。自分だけの特別な機材を探さなければいけない。リッチー・ブラックモアは、何を弾いても“彼の音”が出せる。“(ES-)335”でもストラトでも…ね。楽器も鳴りも全く異なるのに、凄いことだよ。ロリー・ギャラガーにしても、聴いただけで彼と分かる音を持っている。素晴らしいことだね。

YG:昨晩、「Rock Until You Drop」(『ROCK UNTIL YOU DROP』収録)の途中でギターを交換しましたが、あれは弦を切ったとかそういうのではなく、単にアーム付きのギターに持ち替えただけでしたか?

マーク:ああ、そうだよ。あとは、よりリード向きのギターに持ち替えたというのもある。でも、アームって四六時中使うモノじゃないからね。効果音としては素晴らしいけど、やり過ぎたら台ナシになってしまう。特定の名前は挙げたくないけど、そういうバンドって多くないか? どの曲のソロにも全部同じワウをかけてしまったりして──「もう分かった、分かった! 他にないの?」と思っちゃうよ。

だから俺は、ブラックモアのファンなんだ。彼は特に何かを使い込むということがない。使ったとしてもアームぐらいで、使い方も普通とは違う素晴らしさがある。ちょっとやる分には良いよ。でも、常に同じ効果音を出していたら、やり過ぎになってしまう。ワウもそうだ。俺があまりワウを使うのが好きじゃないのは、そういった理由からさ。一方、エコー(ディレイ)は、バンドを始めた時からずっと使っている。これはないとダメだ。ブライアン・メイが使っていたヤツだ。あのサウンドが好きなんだよ。でも、それぐらいかな。ちょっとしたスパイスで味付けすれば、それでもう充分だから。あとはただプレイするだけ。そうじゃないと、プレイがそれ以外の何かになってしまって、つまらなくなるからね。

アルバムのタイトル…いいアイデアないかな?(笑)

YG:では最後に、ニュー・アルバムについて教えてください。もうレコーディングには取り掛かっているのですか?

マーク:そうだよ。というか、もう録り終わっていて、今はミックスの真っ最中だ。年末までにはリリースしたいね。どの曲もみんなイイ感じで、仕上がりが完璧になるよう、念入りに進めているところさ。みんな超エキサイトしている。マイクも話したいことがあるんじゃない?

マイク:何を言えばイイ?

マーク:どんな感じか言えばイイんだよ。だって、オマエにとって初めてのレイヴン作品だろ? ライヴ・アルバムも、今の俺達を上手く捉えた内容で最高だけど、今度はスタジオ・アルバムだから。

マイク:ああ、そうだな。新しいスタジオ・アルバムは──俺に言わせれば、レイヴンがこれまでに持ち併せてきたエネルギーの、さらにその先にある…という気がするんだ。これまでのスタジオ作には、それが充分反映されていなかったような気もしているよ。俺は、(過去ドラマーとは)全くもってタイプが異なる。その中で、ロブ(“ワッコ”ハンター)やジョー(ハッセルヴァンダー)に最大限の敬意を払いながらプレイしているのさ。

この新作で、ジョンとマークはクレイジーにプレイしている。だから俺も、クレイジーに叩きまくった。そんな三つ巴のクレイジーなエネルギーが、新作には詰め込まれているよ。アルバムを聴いた人達はビックリするんじゃないかな? こんな音楽を聴く心の準備が出来ている人なんて、そうそういないと思う。凄く気に入ってもらえることは確かだけど、ファンだってこんなモノを聴かされるなんて思ってもいないだろうな!

ジョン:昨日、新曲を聴いてどうだった?

YG:「Top Of The Mountain」ですね? レイヴン以外にはありえない曲でした!

ジョン:そうだよな〜。古き良きメロディーも、クレイジーさも、全部入っている。ライヴ・アルバムのフィーリングが完全に移行されていて、まるで『WIPED OUT』の後にリリースされるアルバムみたいだよ。実際、イカれている。だけど、それを21世紀ヴァージョンにしたという感じだ。

マーク:マイクは巧いシンガーが好きなんだ。高い声でスクリームするシンガーも大好きだ。でも、キャリアを重ねる中で衰え、上手く歌えなくなったり、高い声が出せなくなって辞めてしまったりするケースもある。でも、ジョンなら大丈夫。スタジオで俺達が、「もっと高い声で叫べ!」とハッパをかけまくっていたからね。「限界を超えていけ!」って!(笑) いやいや、昔と同じ気持ちでアルバムを作る機会が持てるなんて、とってもクールだよ。

YG:アルバム・タイトルはもう決まっていますか?

マーク:まだタイトルはないんだ。いいアイデアないかな?(笑)

YG:えっ…?

ジョン:そういうところも俺達らしいだろ?(笑)

マーク:幾つか案は出ていたよ。モーターヘッドのトリビュート曲「Motorhead」も収録される。

ジョン:(バンドの出身地)ニューカッスルのトリビュート曲「Metal City」もある。

マーク:あと他にどんな曲があったっけ? 「When Worlds Collide」とか?

マイク:それと、「Human Race」とか、“Powerナントカ”とか…。

マーク:実は、ミュージック・ビデオを作る曲がもう決まっていてね。「Battle Scar」という曲で、これはレイヴンのように、30年も40年もツアーを続けてくたびれきっている連中のことを歌っている。“戦傷を得る”ということさ。オーディエンスとも一体になれるストーリーなんだ。彼等もずっとライヴ会場に足を運んでくれて、人生の問題に直面したりしながら、共に歩んできているだろ? それでもみんな、今でもこういった音楽を好きでい続けてくれている。例えば、ジューダス・プリーストだってそうだ。彼等も色んなトラブルに直面してきたけど、ファンと共にキャリアを築き上げてきた。そういうことを歌った曲なんだよ。

YG:リリースがモノ凄く楽しみです!

マーク:嬉しいね。どうもありがとう! とにかく、みんなに早く聴いてもらわないと…!!

RAVEN:ラスト

フォト・ギャラリー

RAVEN ギャラガー兄弟
▲来日時、ジョンは60歳でマークは59歳…。それでいて’80年代からほぼ変わらぬアクティヴ&ダイナミックなパフォーマンスは健在!!

RAVEN:マーク
▲とにかく全身を使ってギターを掻き鳴らしまくるマーク! また“顔で弾く”とは正にこのこと──その表情がプレイの豪快さと見事に連動!!

RAVEN オーディエンス
▲常に観客とのコミュニケーションを欠かさないジョン。いつもヘッドセット・マイクを使用しているのも、言わずもがなステージ上で自由に動き回るためだ!!

RAVEN:マーク
▲文字通り全身全霊を傾けての渾身プレイ! 最後には…何故かヴォーカルではないマークが声を枯らしていたのだから凄まじい!!

レイヴン JAPAN TOUR 2019 来日公演 セットリスト

@吉祥寺CLUB SEATA 2019.3.14
1. Take Control
2. Hell Patrol
3. All For One
4. Hung, Drawn & Quartered
5. Top Of The Mountain
6. Rock Until You Drop
7. Guitar Solo
8. Faster Than The Speed Of Light
9. Hellraiser / Action
10. Fire Power *
11. Wiped Out *
12. Mind Over Metal
13. Bass Solo
14. Break The Chain 〜 Jam 〜 Don’t Need Your Money

[Encore 1]
15. Crash Bang Wallop

[Encore 2]
16. Seek & Destory

* … with Marty Friedman

@新宿BLAZE 2019.3.15
1. Destroy All Monsters
2. Hell Patrol
3. All For One
4. Hard Ride
5. Hung, Drawn & Quartered
6. Top Of The Mountain
7. Tank Treads(The Blood Runs Red)
8. Guitar Solo
9. Faster Than The Speed Of Light
10. Seek & Destory
11. On And On

[Encore 1]
12. Bass Solo
13. Break The Chain 〜 Jam 〜 Stay Hard

[Encore 2]
14. Crash Bang Wallop

※いずれの日もセカンド・アンコールは予定外で──2日目は幕が閉まり、客電が点いてもコールが鳴り止まず、急遽でもう1曲「Crash Bang Wallop」がプレイされた。