キャメロットのトーマス・ヤングブラッド「日本で大掛かりなショウがやりたい!」

キャメロットのトーマス・ヤングブラッド「日本で大掛かりなショウがやりたい!」

ファンとの強固な絆があれば、特殊効果なんて必要ないさ

YG:大阪、川崎と1公演ずつ終えての感想は?

トーマス・ヤングブラッド(以下TY):最高だよ! 観客の反応も含めてとてもクールだった。俺にとって、バンドとプレイの絡みはどのライヴでもほぼ同じなんだ。でも、ファンがどんな反応をくれるか──それこそが重要でね。俺としては、それでライヴの良し悪しが左右されるとさえ思っている。だから、自分のプレイが良かったかどうか、俺の髪型がどれぐらいキマっていたか(笑)…といったことはどうでもイイ。その点、昨日(11月3日)のオーディエンスは素晴らしかった。1日の大阪もしかり。スーパー・クールだったね!

YG:キャットウォークを設けていたのはあなたのアイデアですか?

TY:俺のアイデアだ。ツアーにせよ、フェスティヴァルにせよ、やれるところではいつも設けているよ。特に、アメリカやヨーロッパでのツアー先ではね。そうすることで、ステージに異なる側面や深みを与えるようにしているのさ。バリケードと(ステージと)の間をつないで、ファンと触れ合えるように…というのもある。俺達としては、出来るだけファンのそばに行きたいからな。

YG:海外のライヴではステージ上に設置してある“K”のオブジェなどは持ってこられなかったようですね?

TY:そうなんだ。数回のライヴのために運んでくるのは費用効率が悪いから、日本にはバックドロップぐらいしか持ってこられなかった。まぁ、いつか日本でブルーレイ用の収録を行なうことにでもなったら、ステージ・セットを丸ごと運んでくるんだけどな。良いバンドには、良いライヴをやることが求められる。パイロだろうが何だろうが、色々と技を駆使して観客を楽しませなきゃならない。ただ、俺達の強みは、特別な演出がなくても観客を満足させられる点にある。パイロを使わないと退屈なライヴになってしまうバンドもいるけど、俺達にはファンとの強固な絆があるんだ。それがあれば、特殊効果なんて必要ないさ。

キャメロット プログパワー出演時
KAMELOT at ProgPower USA, 2023.9 Pic: Yuzi Okumura

YG:今夜(東京2日目)のライヴでは、セットリストを変えますか?

TY:5曲変更するよ。「The Human Stain」(’07年『GHOST OPERA』収録)を久々にやる。あと、「Center Of The Universe」(’03年『EPICA』収録)もね。全曲違うセットを2つ組むのは難しい。でも、5曲も違えば両日のライヴに来てくれるファンだって満足させられるんじゃないか? ニュー・アルバム(’23年『THE AWAKENING』)からの新曲もやるよ。「Opus Of The Night (Ghost Requiem)」は勿論のこと、「New Babylon」「Nightsky」「One More Flag In The Ground」もね。もしかしたら、「When The Lights Are Down」(’05年『THE BLACK HALO』収録)は外さないといけないかもしれないけど…分からないな。まだ、完全には決めていないから。

キャメロット セットリスト@梅田クラブクアトロ 2023.11.3

1. Overture (SE)
2. Veil Of Elysium *
3. Rule The World
4. Opus Of The Night (Ghost Requiem) *
5. Insomnia
6. When The Lights Are Down
7. Vespertine (My Crimson Bride)
8. Key intro 〜 New Babylon *
9. Karma
10. SE 〜 Sacrimony (Angel Of Afterlife) *
11. Song For Jolee
12. SE 〜 NightSky
13. Drum Solo
14. March Of Mephisto*
15. Key Solo 〜 Forever
[encore]
16. Tommy’s Piano Intro 〜 Phantom Divine (Shadow Empire) *
17. SE 〜 One More Flag In The Ground
18. SE 〜 Liar Liar (Wasteland Monarchy) *
19. Outro:Continuum〜Beautiful Apocalypse(SE)

キャメロット セットリスト@川崎クラブチッタ 2023.11.3

1. Overture (SE)
2. Phantom Divine (Shadow Empire) *
3. Rule The World
4. Opus Of The Night (Ghost Requiem) *
5. The Human Stain
6. Center Of The Universe*
7. Key Intro 〜 New Babylon*
8. Karma
9. End Of Innocence
10. SE 〜 NightSky
11. Drum Solo
12. SE〜Sacrimony (Angel Of Afterlife) *
13. Here’s To The Fall
14. Piratez:Key Solo
15. Forever
16. March Of Mephisto*
[encore]
17. Tommy’s Piano Intro 〜 Ghost Opera *
18. One More Flag In The Ground
19. SE 〜 Liar Liar (Wasteland Monarchy) *
20. Outro:Continuum 〜 eautiful Apocalypse(SE)

* with Melissa Bonny

YG:ロイ(カーン:前vo)時代のレパートリーはかなり固定されてきていますが、ずっとライヴ披露されてこなかった曲を突然やったり…ということは?

TY:それもなくはないけど──例えば「March Of Mephisto」(『THE BLACK HALO』収録)なんかは、みんなのお気に入り曲だから、セットから外すと「どうしてやらないんですか?」と苦情がくる。俺達はファンが聴きたい曲をちゃんと把握しているんだ。「When The Lights Are Down」もそう。Spotifyで何百万回も再生されていて、No.1になったこともあるぐらいでさ。だから、もし「The Fourth Legacy」(’99年『THE FOURTH LEGACY』収録)を久々にやったとしても、きっと分かるのは10人ぐらいだろうな。

YG:その中のひとりかも…(笑)。

TY:だろうね(笑)。イタリアにも、君と同じ好みのファンがいる。彼等はいつも、「お願いだから“The Fourth Legacy”をやってください」と言ってくる。でも、他のファンは望まないだろう。古い曲なら俺は『KARMA』(’01年)のタイトル曲が大好きなんだ。誰がヴォーカルだろうが、俺のお気に入りの曲だよ。その点では、プレイしていて俺達がハッピーになることも重要なのかもしれないな(笑)。

YG:キャメロットを’11年に脱退したロイは、しばらく表舞台から消えていましたが、’18年にコンセプションを復活させましたね? 最近、彼と会ったことは?

TY:ああ、話したことはあるよ。友達だからな。ライヴで、ロイが住むノルウェーのオスロを訪れた際、ウチの家族と彼の家族とで会ったりもしたし。今も良い関係で、お互いにリスペクトし合っているんだ。あと、今度『THE BLACK HALO』をボックス・セットで再発するんだけど、俺達はあのアルバムでもパートナー同士だったしね。

YG:いつかキャメロットのゲストに迎えることは?

TY:そうする必要はないと思っているよ。

YG:今年2月にメガデスが来日して、その時、マーティ・フリードマンとの久々の共演が実現したんですよ。そんな感じでロイがゲストで数曲歌うのも良いのでは…?

TY:でも、ギタリストとシンガーでは違う。メタリカがデイヴ・ムステインを迎えるのは想像出来ないだろ? あと、ハロウィンを見てごらんよ。彼等はリユニオンしてしまったが故に、ずっと2人のシンガーでツアーし続けないといけなくなった…。

YG:カイ・ハンセンも歌うので、シンガー3人ですね?(笑)

TY:ああ、そうか。ただ、それを一度やってしまうと、もう後戻りは出来ない。今のキャメロットにそれは必要ないな。過去にやったことは、勿論いまでも大いに気に入っているけど、俺達は常に今現在を──明日起こることを大切にしているんだよ。それをやってしまうと、まるでトリビュート・バンドのようになってしまう。あるいはレガシー・バンドというか…。だから、そういったのはやりたくないんだ。

YG:なるほど。実際キャメロットはキャリアの長いバンドにしては珍しく、所謂クラシック・ヒットに頼ることなく、近作からの楽曲中心のセットで勝負していますね?

TY:その通り。俺達は新曲に重きを置いている。だって、昔に頼りたくはないからな。俺達はクルーズやカジノでだけプレイするような、ヒット曲ばかりやっているバンドじゃない。レガシー・バンドだったら、きっとそうするだろうけどさ。初めて俺達のアルバムを聴いたリスナーが、「これは新しいバンドだな?」と思ってもらいたいんだよ。時代遅れであってはならない。俺はずっとそれを信条としてきた。どのアルバムでも、独自の強みと焦点を100%持たせたいと思っているんだ。「ツアーするためにアルバムを出さないといけない」なんてことはない。そんな風に考えたりはしないよ。「One More Flag In The Ground」は、ライヴで最も人気のある曲の1つになったけど、これは(『THE AWAKENING』収録の)新曲なんだからね。まぁ、新しくて良い曲が書けなくなった人達もいるだろう。でも幸運なことに、俺達にはユニークな新曲が書けるソングライターが内部にも外部にもいるのさ。

YG:新しいファンがどんどん増えてる…ということの証明でもありますよね?

TY:その通り。既に次のアルバムの方向性について、意見を出し合ってもいるんだ。アルバムのテーマは毎回違うし、バンドのルックスも変わる。そうして新しいファンを獲得し続けるのさ。