「観客のみんなもライヴの一端を担っている!」マーク&ジョン・ギャラガー2024来日インタビュー前編

「観客のみんなもライヴの一端を担っている!」マーク&ジョン・ギャラガー2024来日インタビュー前編

結成50周年を迎えた英国出身(現在は北米拠点)ウルトラ&ハイパーHR/HMトリオ:レイヴンの来日インタビューをお届けしよう! 2024年11月、5年半余振りに来日した彼等は、東京と大阪で爆裂パフォーマンスを繰り広げ、“ルナティクス”と呼ばれるファンを歓喜と狂熱の渦に叩き込んだ。1974年にこのバンドを結成したジョン(b, vo)とマーク(g)のギャラガー兄弟は、もうとっくに還暦を過ぎているというのに、まるで自分の年齢を忘れてしまったかのよう。文字通りステージ狭しと暴れまくり、全く衰えを知らぬ激速パワーで“アスレティック・ロック”の神髄を叩き付けてくれた。

今回、本誌が取材の機会を得たのは、東京初日公演を終えた翌日──バンド初のファン・ミーティングが行なわれた11月13日のこと。同イベントの開催前、インタビューに応じてくれたのは勿論ギャラガー兄弟だ。2人ともこれまで以上に饒舌…というか、超ハイ・テンションのマシンガン・トークでもって、妥協を許さぬライヴ哲学、日本のファンへの思いなどについて、ガッツリ語り尽くしてくれた…! 

レイヴン ステージ全景

あれは、本当の意味でのアンコールだった

YG:2019年以来となる来日公演は、初日から凄まじい盛り上がりでしたね!

マーク・ギャラガー(以下MG):ああ、グレイトだった! 楽しかったよ。観客も最高! みんなが笑顔で暴れているのが見られて嬉しかったな!!

ジョン・ギャラガー(以下JG):ああ、最高だった。観客達が楽しんでくれると、こっちのプレイも良くなる。本当に素晴らしいひとときだったよ。

MG:日本のメタル・ファンは音楽に対する情熱が凄いんだ。元々日本人って、敬いの気持ちがあり、穏やかな国民性で知られている。だから、日本のファンがどれぐらい情熱的なのか──意外と気付かれていないんだよな。

JG:ライヴに行けば分かるんだけどね。

MG:そうそう。あんなに最高なんだからさ!

YG:今マークもおっしゃっていましたが、レイヴンのライヴってあんなに激しいのに、観客の多くが笑顔なのが面白いというか…。

JG:俺達はアッパーでポジティヴだからな。そして、楽しさと幸せに満ち満ちている。殆どのメタルはダウナーでダークだ。それはそれでイイよ。クールだと思う。でも、俺達のライヴは“楽しい”んだ。メタルではあるけど、ちょっとロックンロール入ってもいるからかな?

MG:ああ、それって良いフィーリングだ。みんなでライヴを楽しみ、お祝いし、それって最高じゃないか。

マーク・ギャラガー
Mark Gallagher(g)

ジョン・ギャラガー
John Gallagher(b,vo)

マイク・ヘラー
Mike Heller(dr)

YG:今回、日本の前にアジア圏やオセアニア方面を廻ってきましたが、ほぼ固定だったセットリストに、日本では何曲か追加されていましたね?

MG:そうそう。日本ではちょっとスペシャルなことがやりたいと思ったんでね。毎回、日本に来られるだけで嬉しいから、何曲か増やしたくなったのさ。時々そういうこともあるよ。そもそもこのバンドは、型にハマったアンコールなんてやっていないし。一旦ステージを下りて、また戻ってくる…なんて面倒臭いのはね。

YG:確かに、アンコールをやらなくなってもう長いですが、昨日はやってくれましたね!

MG:俺達としては、ただプレイしたくなったからやる──それだけさ。

JG:そう。だからあれは、本当の意味でのアンコールだった。昨日は、最後の曲をプレイしたあとも、みんなバカみたいに騒いでいた。だから、「もう1曲やるか?」「よし、やってやろうぜ!」となったのさ。あの曲(1983年『ALL FOR ONE』収録「Mind Over Metal」)は、ここしばらくやってなかったしね。俺達はオーディエンスが「もう充分だ」と思えるまでプレイする。昨日はそれが出来たと思うな。

マーク
オーディエンスに向かってベースを掲げるジョン

MG:ああ。そもそも長いセットだけど、さらに何かやりたくなったらやる──それだけだ。

JG:アンコールをやらなくなったのは、1991年頃からだったかなぁ…。

MG:もう長いよ。

JG:言わば“お約束”になってしまっていたからね。

MG:そんなの古臭くてつまらないよ。

JG:ステージを下りて、しばらくしてからお決まりのようにまた戻ってきて、「もう1曲聴きたいか〜!?」なんてさ…!

MG:だから昨日も、セットを終えた時点で、(観客の様子を見て)「まだ足りないのか? それならやるぜ!」と言ったのさ。

JG:そう。一度去ってから、また戻ってくる代わりにね。

MG:俺達はみんなを巻き込みたい。だって、観客のみんなもライヴの一端を担っているんだからさ。正に「俺達だけじゃない」「みんな一緒!」だね。“All for one, One for all”だよ。そうした“体験”をファンにもたらしているんだ。レイヴンのライヴは、ただの楽曲演奏披露の場じゃない。会場をあとにする時、みんなには「特別な体験をした!」と感じてもらいたいからね。ほら、大きなアリーナで行なわれるライヴって、スゲー退屈だろ? ステージ・プロダクションとか、動員数ばかり気にしてさ。

JG:あと、どれだけ金が儲かるか…だな。

MG:そうそう! そんなの退屈極まりないよ。そこに情熱なんてない。ガツンとくるモノがないんだ。俺達が求めているのは、その“ガツンとくる”ことなんだからさ!

ジョン&マーク