コルピクラーニ&フィドラーズ・グリーン 2017来日インタビュー

コルピクラーニ&フィドラーズ・グリーン 2017来日インタビュー

コルピクラーニ feat. Jonne, Cane & Sami

KORPIKLAANI - Jonne & Cane

まず最初に登場してもらうのは、コルピクラーニのヨンネ・ヤルヴェラ&ケーン…なのだが、予定の時間になっても彼等はなかなか現れない。聞けば、時差ボケと二日酔いで2人ともヘロヘロとのこと。名古屋から午前中に移動してきて、会場へ着くなり、倒れ込むように楽屋で爆睡してしまったのだとか…。そして──しばらくすると、完全に寝起きの表情で(笑)2人がやって来た。いや、アコーディオン奏者のサミ・ペルットゥラも一緒だ。何でも彼は“アコーディオン界のアレキシ・ライホ”と呼ばれているそうで、ギター誌の取材なら是非に…と同席を希望したとのこと。まぁ、今やヨンネもステージではギターを弾かないし、面白そうなので急遽3人揃ってのインタビューとなった!

今ではレコーディングでも楽しく弾いているよ(ケーン)

YG:まだまだ眠そうですね?(笑)

ケーン:うん…。でも、大丈夫だよ。

YG:久々の来日ですが、名古屋と大阪のショウはいかがでしたか?

ヨンネ:最高だったな。

ケーン:ああ、とても良かった! 待ちきれなかったよ。

ヨンネ:とにかくオーディエンスが素晴らしくてさ。以前よりも(ライヴ会場の)規模が大きくなっていたのも良かった。

ケーン:しかも、(名古屋は)ソールド・アウトだったんだよ。6年も来ていなかったのに。

YG:サミにとっては初めての日本ですよね?

サミ:そうだ。だから、とってもエキサイトしている。日本のファンは素晴らしいよ。凄くイイ反応をステージに返してくれて、僕達メンバー全員がそれを受け取ることが出来た。みんな凄いエネルギーをくれたんだ。ホント、最高だったね。『NOITA』(’15年)の出来が上々だったということの結果だとも思う。

YG:サミはギターも弾くのですか?

サミ:僕はギタリストじゃないけど、以前は弾いていたんだよ。いつも、ロング・ヘアーのカッコいいギタリストに憧れていた。でも──結果的にアコーディオンをやることになった上に、こんな(坊主)頭になっちゃったからなぁ…(笑)。

YG:ヨンネはもうずっとステージではギターを弾いていないのですね?

ヨンネ:ああ。以前、アメリカ・ツアーの初日に指を怪我してしまってね…。

ケーン:それでたまたま、ギタリストが1人になってしまったのさ。

ヨンネ:でも、バンドにとっては悪くない結果となった。前よりもサウンドがクリアになったし。実際、このバンドにはギタリストが2人も要らない。アコーディオンやフィドルが活躍して、メロディーを弾いているからね。

ケーン:ギターはリズム・パートのみを担当するんだ。ソロもないよ。

YG:ケーンとしては、最初はツインに戻して欲しいという気持ちもありましたか?

ケーン:いや、なかったな。ギター1本でサウンドも充分だから、その必要はないんだ。

YG:ただ、レコーディングではヨンネもギターを弾いていますよね?

ヨンネ:この前のアルバム(『NOITA』)では弾いていないよ。ケーンだけだ。まぁ、家では今も弾いているけどね。曲を書く時はギターを使うし。

サミ:フラメンコ・ギターが好きなんだよね?

ヨンネ:そうそう(笑)。俺の趣味だよ。だから、ギターを辞めてしまったワケではないけど、もうライヴでは弾かないな。

YG:以前は、ヨンネがすべてのギター・パートをレコーディングし、ケーンはスタジオではギターを弾いていなかったのでは…?

ケーン:確かに以前はそうだったな。でも、変わったんだ。今では(レコーディングでも)楽しんで弾いているよ。

YG:曲作りやレコーディングの際は、ギター・パートをどうするのか2人で打ち合わせするのですか?

ケーン:ヨンネが全部作って、俺はそれを覚えるのさ。スタジオに入ってから、あるいはミックスの段階で少し変えたりもするけどね。

ヨンネ:俺にはケーンのスタイルがよ〜く分かっているからな。

YG:では曲作りの時も、彼がどんな風に弾くのか想定しながらギター・パートを書くのですか?

ヨンネ:その通り。必ず考えているよ。リフだって、きっとケーンならこんな風に弾くだろうな…と想像しながら書くんだ。

ケーン:それでとてもウマい具合にいっているよ。

YG:ヨンネから見て、ケーンはどんなスタイルのギタリストだと思いますか?

ヨンネ:思いっきりロックンロールしているギタリストだな。オールド・スタイルのロックのアティテュードをよく心得ている。ZZトップ風なところもあるし。

YG:逆にケーンが、「ヨンネだったらこう弾くかな?」と思ってプレイすることは?

ケーン:それはない。ギターは俺だけだから、俺なりに弾いているよ。

YG:いつもケーンは、ライヴでアクティヴに動き回っていますが、もしかして…スタジオで暴れながら弾くこともあるのでしょうか?(笑)

ケーン:いやいや、基本的に座ってプレイするよ(笑)。その方が弾き易いし。格好は関係ない。スタジオで見栄えを良くしたってさ…(苦笑)。

YG:ヨンネはギターのレコーディングにも立ち会いますか?

ヨンネ:ああ。殆どの時間はスタジオにいるよ。アコーディオン録りの時もね。

YG:その場で変更したり…ということは?

ヨンネ:あまりないな。プロデューサーにも考えがあるし、俺はただそこにいたいだけなんだ。彼等なら出来ると分かっているし、俺が出しゃばるまでもない。時々ちょっと気になることもあることはあるけど(笑)、基本的には黙っているよ。

YG:ギター・パートはヨンネが書くとのことですが、アコーディオンやフィドルについてはいかがですか?

ヨンネ:以前はそれらも俺が作っていたけど、今は彼等に任せているよ。サミの作るメロディーは、フォーク調のアレンジにピッタリだからね。基盤となるメロディーは俺が作るけど、『NOITA』では彼がとても良いメロディーを加えてくれたんだ。まるで“アコーディオン界のアレキシ・ライホ”だな!(笑)

サミ:(笑) 時には「全然アコーディオンらしくないな!」というフレーズが出来てくることもあるけどね。ただ、リズムの要素も担っていると思う。つまり、リズム・ギターに加えて、アコーディオンでもリズムを弾いているということさ。ギターがソロっぽいモノをやっている時、バックでアコーディオンのリズムが流れていることもあるしね。

YG:メタル・バンドにおいて、ギターの代わりにアコーディオンでソロを執ることについてはどう捉えていますか?

サミ:僕にとっては願ってもないことだ(笑)。僕にとってのアイドルで、音楽を始めるキッカケになったのは、みんなギタリストなんだからね。13歳の頃、チルドレン・オブ・ボドムに出会って、真剣にメタルを聴くようになったんだけど、その後、ヴィニー・ムーアやイングヴェイ・マルムスティーンなどにも目覚めて、10代の頃は完全にハマっていたよ。ただ、その時はもうアコーディオンをやっていたから、「今からこんな難しいことをギターで弾くなんて無理…!」と気付き(笑)、アコーディオンで同じようなことをやろうと思ったのさ。まったくもって一般的なやり方ではないけど、単にそうしたいと思った。他との違いを出せるし、このバンドって…ある意味そういうところが大切だから。

コルピクラーニ:サミ

YG:ケーンにも、イングヴェイにハマった時期があったりしますか?

ケーン:イングヴェイ? 聴いたこともないよ(笑)。

ヨンネ:俺は好きだよ。でも、何故だかスキルが身に付かなかったんだ。練習は沢山したけど、あそこまで上達するには何かが欠けていたんだろう。今はヴォーカルに専念している。イングヴェイには、俺にはないモノがあるからな。でも、彼を目指したいとは思っているんだ。

YG:そういえば──ヨンネは今年、2枚目のソロ作(『KALLOHONKA』)をリリースしましたが、そのレコーディングでもギターは弾かなかったのですか?

ヨンネ:いや、弾いたよ。俺のソロは、よりアコースティック傾向が強くて、ヘヴィ・メタルの要素はない。全く別モノなんだ。ただ、こちらにもギタリストがもうひとりいる。ユッシ・ラウティオだよ。

サミ:バトルローのメンバーだよね?

ヨンネ:そうそう。

YG:ソロのJONNE名義でもライヴを行なっていますか?

ヨンネ:ああ。この(コルピクラーニの)ツアーが終わったら、ヘルシンキで1回ショウをやるよ。1回きりだけどね。

YG:それはJONNEというバンドだと思ってイイですか?

ヨンネ:最初はいかにもソロ用のバンドという感じだったけど、今は本物のバンドとしてよりまとまってきている。メンバーは11人いるんだ。

ケーン:あれだけ多くのメンバーが関わっていたら、1回だけでもショウをやるのは大変だよね。みんなそれぞれに活動もしていて、あちこちツアーに出ることが多いから。

ヨンネ:そうなんだよ。だから、自分だけでツアーに出るのもイイかもしれないな。

KORPIKLAANI - Jonne