シークレット・スフィア&トリック・オア・トリート  2016来日インタビュー

シークレット・スフィア&トリック・オア・トリート  2016来日インタビュー

仕事として曲をプレイするんじゃなくて、俺達も観客と一緒に楽しめたらイイと思っている

tot-04

YG:当時は何故、一緒にバンドを組まなかったのですか? どうして別のルカとハロウィンをカヴァーすることになったのでしょう?

GB:なかなか鋭い質問だ(笑)。実は、元々トリビュート・バンドを始動させたのは、別のルカ──カブリの方だったんだ。彼から電話があって、一緒にバンドをやることになったのさ。本当はこっちのルカとプレイしたかったのに…。

LV:本当?(笑)

GB:でも、一緒に別プロジェクトをやっていたんだよな。俺のスタジオでプレイしながら…。

LV:インストゥルメンタル曲だったね。

GB:カコフォニーみたいな音楽だ。

LV:あと、リッチー・コッツェンとか。

GB:そう。それで、「いつか一緒にバンドが出来たらイイな」なんて思いながら(ハロウィンのトリビュート・バンドを)やっていたんだ。だから、前任ギタリストが脱退した時、俺の頭の中に候補は1人しか思い浮かばなかった。そう、“こっちの”ルカだよ!(笑) それで彼に話を持ち掛けて、今に到るというワケさ。

YG:ルカ・カブリはどうして脱退したのでしょう?

GB:多分、家族のために割く時間が増えてきたからじゃない? 選択を迫られていたようだ。そのままバンドを続けていくのが難しい状況になることもある。俺は今こうして日本にいるし、これからもしっかりやっていけると信じているよ(笑)。

YG:ちなみに、グイドは初期のToTでハロウィンのどのギタリストを担当していたのですか?

GB:マイケル・ヴァイカートだ。そして、ルカ・カブリがカイ・ハンセン。俺達は“KEEPER OF THE SEVEN KEYS”2部作の曲しかプレイしていなかったからな。つまり、マイケル・キスクがいた時代だね。アレも似たような声質の持ち主だし。

YG:確かに。以前、ルカ・トゥリッリから、「彼はイタリア版マイケル・キスクだ」とアレッサンドロを紹介してもらったことがあります。

GB:なるほどね! その通りだと思う。実際、彼はキスクから大きな影響を受けている。他にも、ジェフ・テイトや女性ヴォーカルなどの影響もあるけどね。モデナでは、かつてクワイアにも参加したことがあるんだよ。何でも歌える素晴らしいヴォーカリストさ!

YG:一方のルカ──“こっちのルカ”(笑)は、ハロウィンからの影響は少なそうですね?

LV:そうだね。俺の最初のギター・ヒーローはリッチー・コッツェンなんだ。

YG:そういえば、顔もちょっと似ているような…?

LV:マジで?

GB:やっぱりそう思うよね? 俺もそう言っていたんだ!(笑)

YG:ギター・プレイを観ていてもそう感じました。

LV:ありがとう! 嬉しいよ! あとは、イングヴェイ・マルムスティーンとアレックス・スコルニックにも影響を受けている。他にも沢山いるけど、この辺で止めておかないと、アンディ・ティモンズ、ポール・ギルバート、スティーヴ・ヴァイ…と際限がなくなっちゃうよ(笑)。

GB:俺もイングヴェイから影響を受けたけど、人生を変えたギタリストというと、ポール・ギルバートかな。プレイ・スタイルは勿論のこと、彼の音楽が大好きなんだ。あとはジェイソン・ベッカー。いま現在、彼が俺にプレイ面で影響を与えてくれることはないかもしれないけど、ギターを持たずに作曲したモノだって、どれも常にクールなんだよ。ちなみに──ルカによれば、トリック・オア・トリートの前作(’12年『RABBITS’ HILL PT.1』)には、ハーモニー的な部分でジェイソン・ベッカーの楽曲からの影響が感じられるそうだ。嬉しいな。誇らしい気分だ。ありがとう!(笑)

LV:いえいえ(笑)。

GB:あと俺は、プログレ・メタル寄りなところもあって、ドリーム・シアターやシンフォニー・エックスなんかも好きなんだ。でも最近、パワー・メタル的な曲を書くことに、改めて興味が出てきてね。自分よりもちょっと上の世代の好みに近いかもしれない。ライヴでプレイしていても楽しいし。プログレ・メタルは、ずっとメトロノームにつきっきりで練習して、「まずは5拍子で、次は3拍子で…」といった感じだろ? ライヴでそればっかは辛いよ。ただ、新作(’16年『RABBITS’ HILL PT.2』)では、好きなジャンルを様々に採り入れた楽曲を書いたんだ。どんな音楽に影響を受けたのか──それもバンドを維持していく上で大切なことだと思うな。

tot-leone

YG:ところで、ToTは色々と面白いカヴァー曲をやっていますよね? 昨日(’16年12月17日)のライヴでも、映画『アナと雪の女王』の「Let It Go」や、アニメ『聖闘士星矢』の「Pegasus Fantasy」をやっていたし、名古屋公演(同12月16日)では、シンディ・ローパーの「Girls Just Want To Have Fun」をやったそうで?

GB:俺達は面白おかしいことをやるのが大好きなんだ。仕事として曲をプレイするんじゃなくて、俺達も観客と一緒に楽しめたらイイと思っている。そう、ファンに楽しんでもらいたい…っていうのが大きいよ。アレンジ面では挑戦を強いられることもある。「Girls Just Want To Have Fun」も「Let It Go」も、元々メタルの曲じゃないだろ? だけど、やり方次第でメタル・ソングに生まれ変わるんだ。典型的なパワー・メタルの要素を使えば大丈夫だし、あのメロディーならパワー・メタルでも映える。アニメの曲もそうさ。「Pegasus Fantasy」は俺達の大好きな曲なんだ! 

YG:『聖闘士星矢』はイタリアでも放映されていたのですね?

LV:勿論!

GB:大好きなアニメなんだ。今でも観ているよ!(笑)

YG:イタリアでも日本と同じ主題歌が使われているのですか?

GB:いや、最初は違っていた。でも後から、日本語で書かれた曲を見つけたのさ。MAKE-UPの曲なんだよね?

YG:はい。日本のHR/HMバンドです。

GB:彼等はまだ活動しているの?

YG:いえ…、再結成していた時期もあったようですが。それにしても、イタリアのメタル・バンドはアニメ・ソングのカヴァーが上手いですね? 先日もDGMが来日して、『北斗の拳』の「愛をとりもどせ!!(You Wa Shock)」(’04年『MISPLACED』の日本盤ボーナス・トラック)をプレイしたし。

GB:ああ、そうらしいね!

YG:「Pegasus Fantasy」は、やはりイタリアのバンド:ハイロードもやっていました(註:’02年作『BREATH OF ETERNITY』の日本盤ボーナス・トラック)。

GB:でも、彼等は英語ヴァージョンでレコーディングしていたよね? 俺達は日本語でやっているよ。録音もするつもりなんだ。もしかしたら、YouTubeにアップするかもしれない。『聖闘士星矢』トリビュートさ!!

YG:日本の作品ではありませんが、アニメ化もされた『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』をコンセプトとして採り上げているのもユニークですね?

GB:もう随分前のことだけど、1stアルバム『EVIL NEEDS CANDY TOO』(’06年)を制作していた頃、『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』の映画を、アレともう1人のルカ(カブリ)と一緒に観たんだ。その際、ストーリーがとても興味深く感じられてね。『ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)』シリーズなどに比べて、あまり知名度が高くないこともポイントだった。これなら音楽に置き換えられると思ったよ。人間の世界に共通しそうな部分が沢山あって、独裁者も登場すれば、自由に生きたいうさぎ達もいて、闘いのシーンや脱走のシーンなど、音楽を使ってストーリーを説明するのに、正にうってつけのテーマだったのさ。

tot-07